Jewish Sukkah
    100人乗ることはできなくても、スコットのお祭りには大切な役割を果たす小屋「スッカ」

どうも。ふぁてぃまです。
ご無沙汰をしておりましたが、ブログのことを忘れていたわけじゃないんです。待っていたんです。何をかって?スッカの完成を、です。
その前に、このインスタ大全盛の時代に、まったくインスタ映えしないオープニング写真。
100人乗っても大丈夫…なわけない、1人も乗ることができなそうなこの物置の写真はなんじゃろな?と思いましたよね。これこそが、スッカなんです。

ユダヤ教徒が多く暮らす地域に住んでいる私

私の住むエリアは、メルボルンの中でもユダヤ教徒が多く住んでいる地域です。特に超正統派のユダヤ教徒が多く、男性はクルクルのもみあげを伸ばし、黒い帽子と黒いスーツ、白いシャツ姿、女性は頭にスカーフをマチコ巻き(古い?笑 分からない方はググってね!)のようにかぶり、黒や灰色といった地味めの色の長袖のトップスと長めのスカート、そして夏でも黒いタイツを履いている人たちがたくさんいます。


超正統派ではないカジュアルなユダヤ教徒たちは、特に服装に制限はないようで、我々と同じような格好ですが、男性は頭にキッパという小さ目な帽子をかぶっています。これ言ったら怒られちゃうかなぁ…いや、偏見ではなく理解をしやすくするための例えなので、怒らないでください。キッパは河童の頭みたいな感じの小さな帽子で、これを頭にぺこっとのせています。
昔、チュニジアのジェルバ島という、ほぼイスラームの国であるチュニジアにあって、ユダヤ教徒の多いその島に行ったとき、シナゴーグの中を見せてもらったことがあります。その時に中を案内してくれたユダヤ教徒の男性が「信仰心が強いとキッパは頭から落ちないのだよ」と言っていました。私はそれを見事に信じていましたが、最近、近所のスーパーでキッパをかぶっている人をよくよく見てみると、ヘアピンでしっかり落ちないように止めているようです。

ユダヤ教徒にとって大切なスコットの季節がやってきた

ユダヤ教というのは祭事が多いようで、年がら年中お祭りごとがあるようなのですが、その中でも大きなイベントのひとつ、スコットが今年も始まったようなんです。日本語では、「仮庵の祭り(かりおいのまつり)」や「仮庵祭(かりおいさい)」とも呼ばれ、10月10日から16日まで、つまりちょうど今日始まりまして、スッカはそのスコットのために使われる小屋のことなんです。


エジプトを追われたユダヤの民は、モーセがパッカーンと割った紅海を渡り、シナイ半島のシナイ山へ上り、そこでモーセは十戒を授けられたわけですが、そのエジプトから逃げた出エジプトの時に、40年近く荒れ果てた砂漠でテント暮らしをしていた先人たちの苦労を忘れず、感謝しよう、というのがスコットのお祭りなんだそうです。このスコットの間、ユダヤ教徒たちは、スッカの中で家族で食事を取り、お友達を招いたりもするそうです。


ちなみに冒頭の写真のスッカは、我が家のバルコニーから撮りました。我が家の下に住んでいるユダヤ教徒の家族のスッカなんです。これを書いている今も、スッカの中から食器の音がしていて、明らかに夕飯を食べている様子です。
ユダヤ教徒なら自由にひとさまのスッカでも利用することができるそうですが、ユダヤ教徒ではない私はあいにく、私は中には入れてもらえません。
そして7日間のスコットが終わると、すぐにこのスッカは撤収されます。またらいねーん、というわけです。

独特なユダヤのお祈りの作法

このスコットのお祈りの際に使う植物があるそうで、柳の小枝、レモン、ナツメヤシの葉っぱ、ミルトスの小枝を1つにして、これを振って、神に祈りを捧げるそうです。ちょうど先ほどミルクを買いにスーパーに行ったら、スーパーの前で立ち話をしていた超正統派の男性が、この4つの植物を手にしていました。それにしても、これ、一体どこで手に入れるんだろう…

Jew on the street
超正統派のユダヤ教徒の男性はこんな格好です。

ちなみに私はユダヤ教徒たちがどのように祈りを捧げるのか目の前で見たことはないのですが、日々、下の階から1日に何回か、家族全員で詩吟のような感じで祈りを唱えている声が聞こえてきます。下の家族には小さな子供が2人いるからなのか、夕方のお祈りの時には必ず、「メリーさんの羊」の曲にのせて歌いながら祈る声が聞こえます。
そして私は毎晩、「なんで選曲がメリーさんの羊だったんだろう…」と不思議に思うのでした。

まぁ、読売ジャイアンツの「闘魂込めて」にあわせて祈る、というのもナンセンスなので、羊という動物も中東っぽいし、ちょうどよかったのかなぁ?と思うことにしています。
あ、はい、わたくし、巨人ファンです。

ユダヤ教徒の生活に興味を持ったら…

で、一番最初の話に戻りますが、先祖の荒野での苦しみを追体験するためのスッカを物置呼ばわりしてごめんなさい、でした。このスッカは作り始める時期が決まっていたり、屋根などは草木でつくる、というような細かい決まりもあるようで、なので100人乗っても大丈夫、なスッカは作れないんですね。

ユダヤ教、超正統派について、興味が出たよ、という方は、ネットフリックス限定なのですが「Unorthodox(アンオーソドックス)」という短いドラマシリーズがお勧めです。
彼らの暮らしぶりは、かなり驚きます。


ご近所さんのユダヤ教徒たちのエピソードはたくさんあるので、追々、お話ししていきたいと思います。


では、次回以降のブログをお楽しみに。アッサラームアレイクム。みなさまの上に平安がありますように。